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「分散投資」の分散の意味 「市場」「銘柄」「時間」

「分散投資」の分散の意味 「市場」「銘柄」「時間」

「長期」「積立」「分散」投資の「長期」「積立」について、
前回、前々回でみてきました。

前々回の記事
「長期」投資のメリット



前回の記事
「積立」投資の本質! 資本主義とドル・コスト平均法




今回は最後の「分散」について確認します。

どういった投資をしたいのかで「分散」をすべきかどうかは変わります。
おそらく大半の人が老後に向けて、
「少しでも安全に」投資をしたいと考えているはずです。

「少しでも安全に」投資をしたいなら、
「分散」は必ず取り入れるべき考え方です。
今回と次回で、「市場の分散」「銘柄の分散」「時間の分散」といった視点から、
分散投資についてご説明します。

そもそも分散ってなに?

おそらく大半の人が、「分散」といったときに、下記2点を思い浮かべるはずです。

・市場の分散
 ⇒日本株・債券・REIT、先進国株・債権・REIT、途上国株・債権・REITなど

・銘柄の分散
 ⇒A社株、B社株、C社社債、D国国債、A投資信託、B投資信託、C投資信託など

これらはもちろん大切ですが、それに加えて、実は大切なのは「時間の分散」です。
前回・前々回で「長期」「積立」について説明しましたが、
実は「積立」の最大の特徴は「時間の分散」です。
「特定の時期の特定の価格」に依存するリスクを避ける、
という意味で「時間の分散」は「安全な投資」には必要不可欠です。
見落とされがちですが、「市場の分散」「銘柄の分散」と同じくらいか、
あるいはそれ以上に重要なので、次回重点的に見ていきます。

市場の分散

市場の分散とは、その名のとおりで「投資する市場を分散しよう」という意味です。
金融商品による区別
・株式
・債権
・金
・REIT
・先物
などなど…。

国による区別
・日本
・米国
・先進国
・途上国
などなど…

たとえば…株式一辺倒の投資をしていると、株式相場が崩れた際に、
個別銘柄に関係なくダメージを負う可能性が高いです。
同様に、日本市場の可能性に賭けていると、日本相場が崩れた際に、
個別銘柄に関係なくダメージを負う可能性が高いです。

日本株一辺倒ではなく、様々な国であったり市場に投資を分散する。

「安全」を視野に入れる限りは、
少なくとも特定の市場に依存すべきではありません。
そうなると、選択できる銘柄はいわゆる「バランス型」の投資信託です。

とはいえ…世界は狭くなっています。
日本株がダメになると、米国株がダメになることが多々あります。
そういった意味で、「市場の分散」によるリスク管理は難しくなっていますね。

余談 退職積立の運用を自社でするな!

面白いなぁと思った話をひとつ。
下記書籍からの抜粋です。

バートン・マルキール/チャールズ・エリス著
鹿毛雄二/鹿毛房子訳
『投資の大原則』(日本経済新聞出版・第二版・2018)pp.85-88

エンロンに勤めていた女性が、資産運用でエンロン株を購入していたという話です。
彼女は、退職積立金運用でもエンロン株を選択していました。
ご存知の通り、エンロンは悲劇的な最期を迎えました。
その結果、彼女は職と同時に退職金も失うという話です。
同書は、p.88で以下のように結びます。

「よく考えれば、大切な老後資金の401(k)プランを自分の会社に投資することはあり得ない。
自分の身は自分で守ろう。投資は常に分散投資だ。」

このように、「安全」「リスク回避」という視点で考えれば、分散は必要不可欠です。
何を目的に投資をするのかは人によって異なりますが、
少なくとも「安全」を考慮に入れるのであれば、
一つの銘柄、一つのマーケットに依存することは、避けるべきです。

銘柄の分散

市場の分散と意味を一緒にされがちなのが、銘柄の分散です。
市場の分散とは明確に異なるので、ここで説明します。

株式市場でも、どの株式を選ぶのか?によって結果は異なります。
国債、REITであってもどの銘柄を選ぶのか?によって結果は異なります。

大前提として…一つの銘柄に投資すると…
・その株式が市場平均を超えて跳ねたときは儲かる可能性が高い
・その株式が市場平均を下回ったときは損する可能性が高い
と言えます。

そして…
・どのタイミングでどの銘柄が跳ねるか
・どのタイミングでどの銘柄の値段が下がるのか
これを正確に知っている人は、世の中に一人もいません。

したがって、「安全」という側面からは、
特定の株式に依存し「跳ねる可能性に賭ける」より、
「高値掴みを避ける」「特定銘柄の暴落を避ける」を重視することになります。

まとめ

「安全」を少しでも考慮する限り、
「分散」は必ず取り入れる必要があります。
その「分散」は「市場」と「銘柄」、
そして次回説明する「時間」です。


少し長くなってきたので、「時間の分散」はまた次回に。

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