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こうやって読もう!中小企業の財務指標!①  とにかく横に並べてみること

こうやって読もう!中小企業の財務指標!①  とにかく横に並べてみること

財務指標、実に色々あります。
・売上高○○利益率
・棚卸資産回転期間
・自己資本比率
・財務レバレッジ
・総資産回転率
・ROE
・ROIC
・インタレスト・カバレッジ・レシオ
・CAGR
・配当性向
・EBITDA
・EV/EBITDA
などなど、枚挙に暇がありません。

今回は、そんな財務指標の眺め方をご紹介します。

これが大切!単年でみないこと!

財務数値は、横に並べて検討すると理解が容易になります。
わたしたちプロのコンサルタントでも、単年の財務数値では、その企業を理解することができません。
・単月ではなく月次の推移を比較する
・単年ではなく数年間の推移を比較する
ことが何よりも大切です。
有価証券報告書などでも、基本的には最低2期間の情報が掲載されています。

たとえば、170㎝で70㎏の男性がいたとします。
おそらく彼は中肉中背だと判断されるはずです。
しかし、ここ3年間の健康診断で-20㎏だとしたらいかがですか?
しかもそのうち-15㎏がここ半年の減少だった。
本人は意図してダイエットなどをしていない。
何か体に重大な出来事が起きているのでは?と疑えますよね。
同じ170㎝70㎏でも、10年連続そうだった場合と上記の例では、深刻度は異なります。

事業計画などをつくる際も同様です。
単年度の数字のみを計画値の根拠とすることは、危険です。
過去推移、外部環境、内部環境などを考慮したうえで計画値を策定する必要があります。
「前期は100だったから今年は前期比103%でいこう!」
などとバクっと計画/予算を決めてはいけません。

上記のスライドを見てみましょう。
どう考えても、単年度より推移のほうが実態を把握できます。
単年度で細部まで把握することは不可能です。

キャッシュ・フロー計算書は自分で作るのに若干手間取りますが、
B/SとP/Lの推移を並べるだけであれば誰にでもできます。
やられたことのない人は、ぜひ一度挑戦してみてください。
最低でも3期間、欲を言えば10年分横並びで比較したいところです。

具体例 利益率が変化している

たとえば、以下のようなケースを想定してみましょう。
・直近期の粗利率が50%
・前々期の粗利率が55%
・当期の期中粗利率が45%

この状況で、以下のように判断するのは愚の骨頂です。
「足元の粗利率が45%、悪くない。EBITDAも出るし返済もできる」

確かに現時点では45%で悪くないのかもしれません。
既存のキャッシュ・フローで返済も十分間に合っているのでしょう。
しかし、明らかに粗利率が低下しており、そこには何らかの要因があるはずです。
・得意先から値下げ圧力が強まっている
・外部環境に大きな変化が起こっている
などなど、単年の数値を眺めているだけでは気づけません。

これは月平均でみるときも一緒です。
・冬は大幅に売上が落ちている
・春にかけて利益率が異常に高くなっている
この企業は、季節変動のある業界かもしれません。
なので、単月単年で捉えてしまうと、意味のない分析になってしまいます。

課題は推移に宿る

たとえば、粗利率が1%の企業があるとします。
1億円の売上で、粗利が100万円。
この場合、推移をみるまでもなく、明らかにそこを改善する必要があるとわかります。
しかし、実際ここまでわかりやすい例はほぼありません。
だからこそ、実態がどうなっているのかを把握するために、推移を把握する必要があります。

年間売上高の8倍だった有利子負債が、3年間で5倍に減少しているとします。
「有利子負債が年売上高の5倍」だけに着目すると、「借入過多だな」という印象を持つはずです。
しかし、実は有利子負債を一生懸命減らしている最中であり、その施策は成功しているとします。
そうであれば、その課題は解消途中の課題であると考えることができます。

粗利率が75%の飲食店があったとします。
一般的には「まぁ決して悪くはない」という印象を持たれる数字のはずです。
しかし、粗利率がここ数年で5%減少しているとします。
その減少が意図せざる減少である場合、明らかに対処が必要です。

最も大切なこと 計画値と比較する

過年度推移を眺めるのも大切ですが、最も大切なのは、計画値と比較することです。
上掲の例でいうと、借入額が年間売上高の5倍であるのが計画どおりかどうかということです。
計画を上回るペースで返済が進んでいる場合であっても、
計画を下回るペースでしか返済が進んでいない場合であっても、
そこには計画と異なる推移を示した理由があるはずです。
・返済より優先すべき投資があった
・キャッシュ・フローが計画を下回ってしまった
どちらの場合であっても、企業はその理由を把握する必要があります。
計画と違う数値であった場合、特に企業にとって+に推移した場合は、
「よかった」と一言で片づけてしまいがちですが、それではいけません。
「なぜ計画を上回ったのか?なぜ計画を下回ったのか?」
を洞察し理解し活かしてこそ、企業に成長の道が開かれます。

まとめ

今回は、財務数値を検討する前に、数値の下準備方法をご説明しました。
次回は、どんな材料を料理すべきなのかをご説明します。

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