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現預金残高に気を配ろう① 総論

現預金残高に気を配ろう① 総論

中小企業を経営していると、資金繰りで頭が一杯になりませんか?
中小企業で財務を担当していると、資金ショートが脳裏をよぎりませんか?
お金の悩みは本当に辛いですよね。

リスケ/新規借入などの局面ではなくとも、日々の資金管理は大切です。
今回から数回にわけて、「現預金残高」に親しみを持ってもらえるような内容を記述します。

財務指標には気を配るけど…

会社を経営していると、気にしなければならない数字が多々あります。
いわゆる財務分析に用いられる指標で、財務指標などと言われますね。
すごく初歩的なところだと…
●粗利/粗利率
●営業利益/営業利益率
●経常利益/経常利益率
あたりでしょうか。

他にはP/Lまわりの数字だと…
●労働分配率
●インタレスト・カバレッジ・レシオ
なども気にされている方が多々いらっしゃいます。

B/Sまわり、B/S,P/L複合の数字だと…
●棚卸資産回転期間
●自己資本比率
などなどですね。

上場企業やエクイティ調達を実施しているスタートアップ企業であれば…
●PER
●PBR
●EPS
●ROE
●ROA
●WACC
などなども加わってきます。

経営会議・財務系会議に出席すると、上記単語が飛び交うこともありますよね。
バンクミーティング、決算報告の席などでもこれらの数字を用いて会社の状況を説明できるので、
コンサルタントの立場でも財務指標は重宝します。

大切なのは…キャッシュです

上記では、ある項目に関する事柄を意図的に外しています。


その項目とは…


ズバリ「キャッシュ」です。



●いまキャッシュっていくらあるんだっけ?
●いま借入っていくらあるんだっけ?
●うちの支払サイトって何日だっけ?
●キャッシュ・コンバージョン・サイクルを最適化したい!
●うちの毎月の約弁額っていくらだっけ?
などなど、金銭=キャッシュに関する事柄を除きました。

そして、大半の経営者にとって、「キャッシュ」に関することこそが、
対峙しなければならない最大の問題です。
他の指標を把握することをサボっても、会社は潰れません。
ところが「キャッシュ」の把握をサボると、あっという間に会社は潰れてしまいます。
わたしの実感ですが、大半の経営者にとって「キャッシュ」と「人財」が、
他の要素を大きく引き離して悩みの2大要素になっています。

もちろん利益も棚卸資産回転期間も自己資本比率もとても大切です。
ですが中小企業の経営者が真に気にすべき問題は、
半年後、1年後に現金がいくらあるのか?だったりします。

簡単に言うと…
「いくら儲かったのか?」
も大切ですが
「今後儲けるために投資にまわせる原資はいくら?」
「いま大災害が起きたとしたら、いつまで現金枯渇せずにすむ?」
「いまいくら借りれる余力がある?」
も同じように大切ということですね。

どうやってキャッシュに慣れる?

上掲のように、P/L, B/Sを気にする経営者は多いですよね。
多くの企業が、正確性の差こそあれ、昨対比の試算表を毎月確認しているはずです。
(ただしこれでは不十分で、本来は計画比で進捗管理ができなければいけません)

ところが…
資金繰り表を作成している会社はかなり少ないです。

丁寧に月次で事業計画の進捗を管理している会社であっても、
資金繰りになるととたんに管理が雑になることが多々あります。
種々財務指標を把握している財務担当者はたくさんいますが、
「3ヶ月後ってキャッシュいくら?」
という質問に答えられる財務担当者は中小企業にはあまりいません。

同様に、どんなに丁寧に月次で数字を管理している会社でも、
キャッシュ・フロー計算書まで作っている中小企業はほぼありません。
P/L, B/Sをつくる財務担当者/会計専門家は多々いますが、
キャッシュ・フロー計算書まで作る人はほぼいません。
つまり、事業計画の現預金残高と実際現金残高の相違について、
その理由を答えられる財務担当者が中小企業にはあまりいません。


「何故現金が増えて、何故現金が減ったのか説明できない」
「1ヶ月後、3ヶ月後、半年後、1年後の現預金残高を予想できない」


冷静に考えると、これは致命傷だったりします。
いくらまで投資できるのか?がわかっていないということなので。
P/Lのみの事業計画がダメな最大の理由だったりします。


今日から数回に分けて、どうやってキャッシュを管理するのかのコツをお伝えします。

余談 個人も一緒

今回は法人に関して書いていますが、「キャッシュが大切」なのは個人も一緒です。
人間も法人と一緒で、収入が途絶えたときではなくお金が尽きたときに自己破産します。
これこそが、ほぼ全てのFPがライフプラン策定のお手伝いをする際に、
「亡くなるときのキャッシュ残がプラスである」ことを重視する理由です。

個人のキャッシュ・フロー管理については別に記事を執筆しますが、
たとえば「固定費の削減」「住宅ローン借り換え」「保険の見直し」をする際、
「いくら削る?」という視点が抜け落ちると、ただただ削るだけになってしまいます。
それがいいことだと到底思えません。



「収支の改善=キャッシュ・フローの改善」
「死ぬときの現預金残高が+であること」
がとりあえずの目的であることを意識するといいですね。



そのためにはライフプランを一度書いてみる必要があります。
「固定費の削減」「収入減」という文言に驚き戸惑う前に、
一度本質を見つめてみると素敵な人生を送れるはずです。

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